映画『エリジウム』:格差社会を描くSFアクション大作の魅力

2154年、人類は地球の荒廃によって二つに分断された。一方では、病気や貧困とは無縁の理想郷「エリジウム」で、選ばれた富裕層が極上の生活を送る。もう一方では、人類の大多数が荒廃しきった地球のスラム街で、貧しい生活を強いられている。これは、貧困と富裕の格差が極限まで広がった世界で、一人の男が人類の運命を賭けて立ち上がる物語である。SFアクションの枠を超えて、現代社会が抱える問題を鋭く突きつける傑作『エリジウム』の魅力を徹底解説します。
概要・原題
- 原題: Elysium
- 公開年: 2013年
- 上映時間: 109分
- ジャンル: SF、アクション、スリラー、ディストピア
- 監督: ニール・ブロンカンプ
- 脚本: ニール・ブロンカンプ
- プロデューサー: ニール・ブロンカンプ、サイモン・キバーグ
あらすじ
2154年、地球は汚染と過密によって荒廃し、犯罪と貧困が蔓延していた。一方、地球の上空には、最新鋭の医療ポッドを始めとするあらゆる贅沢が備わったスペースコロニー「エリジウム」が存在し、超富裕層が安寧な日々を過ごしていた。幼い頃からエリジウムを夢見ていたスラム出身のマックス(マット・デイモン)は、工場での事故により致死量の放射線を浴び、余命わずか5日と宣告される。唯一生き残る道は、エリジウムに不法侵入し、医療ポッドで治療を受けることだった。マックスは、かつての友人やレジスタンス組織の力を借りて、決死の覚悟でエリジウムを目指す。しかし、エリジウムの防衛長官デラコート(ジョディ・フォスター)は、不法侵入者を容赦なく排除する冷酷非情な存在。彼女は、傭兵のクルーガー(シャールト・コプリー)を差し向け、マックスを執拗に追いつめる。人類の運命は、一人の男の命と引き換えに、大きく動き出すことになる。
キャスト
- マックス: マット・デイモン
- デラコート防衛長官: ジョディ・フォスター
- クルーガー: シャールト・コプリー
- フレイ: アリシー・ブラガ
- フリオ: ディエゴ・ルナ
- スパイダー: ワグネル・モウラ
- ジョン・カーライル: ウィリアム・フィクトナー
- ドレイク: ブランドン・オーレ
- ヴァルテル: ジョシュ・ブラッカー
- マチルダ: エマ・トレンブレイ
- アヴィラ: ホセ・パブロ・カンティージョ
- ジェイ: マックスウェル・ペリー・コットン
- プレジデント・パテル: ファラン・タヒー
- アグラ: Iñaki Goci
- マリオ: Mario Pérez
- ソフィア: Sofía Sisniega
主題歌・楽曲
- 音楽: ライアン・アモン
- 迫力のあるアクションシーンから、感情を揺さぶるドラマティックなシーンまで、ライアン・アモンの壮大なスコアが、映画の世界観をさらに引き立てています。
受賞歴
- 第13回視覚効果協会賞: 優秀バーチャル・シネマトグラフィ賞(実写映画部門)ノミネート
- 第40回サターン賞: 最優秀SF映画賞ノミネート、最優秀監督賞ノミネート
- 世界各国の映画祭で多数の賞にノミネートされました。
撮影秘話
- 監督のニール・ブロンカンプは、本作でも前作『第9地区』に引き続き、徹底したリアリズムを追求しました。CGだけでなく、実物大のプロップやミニチュアを多用し、荒廃した地球やエリジウムのディテールを緻密に作り上げています。
- マット・デイモンは、マックスの肉体改造に挑み、過酷なトレーニングをこなしました。また、彼は本物の銃器を使って訓練し、アクションシーンの説得力を高めています。
- エリジウムのデザインは、著名な建築家やデザイナーの協力を得て、徹底的に作り込まれました。この理想郷のビジュアルは、観客に強烈な印象を与えます。
感想
『エリジウム』は、単なるSFアクション映画ではありません。華麗なアクションシーンの裏側には、格差社会という重いテーマが流れています。富裕層が病気から解放されて快適な生活を送る一方で、貧困層が劣悪な環境で生きるという設定は、SFの世界でありながら、現代の社会問題と重なり、観る者に強いメッセージを投げかけます。マット・デイモンとジョディ・フォスターの熱演も素晴らしく、特にシャールト・コプリー演じる傭兵クルーガーの狂気的なキャラクターが、物語に緊張感と深みを加えています。
レビュー
肯定的な意見
・「社会問題を真正面から描いた、骨太なSF作品。見終わった後も深く考えさせられる。」
・「アクションシーンの迫力がすごい!特に、パワードスーツを装着したマックスの戦闘シーンは圧巻。」
・「地球とエリジウムの対比が鮮やかで、映像美に引き込まれた。」
否定的な意見
・「アクションに重点を置くあまり、ストーリーが単純化されすぎている部分がある。」
・「一部のキャラクターの行動に感情移入しにくい。」
考察
ディストピアと格差社会
『エリジウム』は、現代社会の格差問題を極端に描いたディストピア映画です。富裕層は高度な医療や生活の安全を手に入れ、貧困層はそれらの恩恵を一切受けられない。この設定は、私たちが今直面している医療格差や経済格差の問題を象徴していると言えるでしょう。
ヒーローの犠牲と人類の希望
主人公マックスは、最初は自分の命を救うためにエリジウムを目指します。しかし、物語が進むにつれて、彼の目的は個人的なものから、全人類を救うという大きな使命へと変わっていきます。彼の最後の行動は、人類にとっての大きな希望となり、観客に感動を与えます。
※以下、映画のラストに関する重大なネタバレが含まれます。
未視聴の方はご注意ください。
ラスト
マックスは、エリジウムのシステムにアクセスし、全地球市民をエリジウム市民として登録することで、全人類が医療ポッドの恩恵を受けられるようにしようとします。しかし、そのためには彼の脳内のデータが不可欠でした。最終的に、彼は自らの命を犠牲にしてデータをアップロードすることに成功。彼の死と引き換えに、地球上の全ての人々がエリジウム市民として認められ、医療ポッドを搭載した宇宙船が地球へと降り立ちます。これにより、人類は初めて平等な医療を受けられるようになり、マックスは人類を救った真のヒーローとなったのでした。
視聴方法
DVD&Blu-ray情報
まとめ
『エリジウム』は、迫力満点のアクションと、現代社会にも通じる普遍的なテーマが融合した、見応えのあるSF映画です。視覚的にもストーリー的にも強く訴えかける本作は、SFファンだけでなく、社会派映画が好きな方にもおすすめです。ぜひ、Amazonプライムビデオでこの傑作を体験してみてください。
映画のジャンル
SF、アクション、スリラー、ディストピア
- エリジウム
- Elysium
- マット・デイモン
- ニール・ブロンカンプ
- SF映画
- アクション
- アマゾンプライムビデオ