映画『東京喰種トーキョーグール』実写映画版レビューと考察：人間と喰種の狭間で葛藤するカネキの物語 - 【ネタバレあり】*ぽかぽか映画日和* ー秒でその映画にちょっと詳しくなる場所ー

東京喰種トーキョーグール実写映画版レビューと考察：人間と喰種の狭間で葛藤するカネキの物語

人間の姿をしながら、人間を捕食する怪人・喰種（グール）が跋扈（ばっこ）する東京。平凡な大学生・カネキは、ある事故をきっかけに、半分が喰種という半喰種となってしまう。人間でありたいと願いながらも、喰種としての本能に苦しむカネキは、葛藤と絶望の狭間で生きる道を模索する。全世界で累計発行部数5,000万部を超える大人気コミックを実写映画化した『東京喰種トーキョーグール』は、衝撃的な世界観と、深く重いテーマで観客を引き込みます。人間の本質と喰種の悲哀を鋭く問いかけます。

東京喰種トーキョーグール実写映画版レビューと考察：人間と喰種の狭間で葛藤するカネキの物語

概要・原題

原題: 東京喰種トーキョーグール
公開年: 2017年
上映時間: 119分
ジャンル: アクション、ファンタジー、ダークファンタジー
監督: 萩原健太郎
脚本: 詳細情報なし
原作: 石田スイ「東京喰種トーキョーグール」（集英社「週刊ヤングジャンプ」連載）

あらすじ

読書好きの平凡な大学生・カネキ（窪田正孝）は、行きつけの喫茶店「あんていく」で出会った女性・リゼ（蒼井優）に惹かれ、デートをすることに。しかし、彼女は人間を喰らう怪人「喰種」であった。リゼに襲われたカネキは、工事現場で鉄骨の下敷きとなるが、一命を取り留める。病院で意識を取り戻したカネキは、自らがリゼの臓器を移植されたことで「半喰種」になってしまったことを知る。人間としての食事を一切受け付けなくなり、空腹に苦しむカネキ。そんな彼を救ったのは、喰種が集う「あんていく」の面々だった。カネキはそこで、女子高生のトーカ（清水富美加）らと出会い、喰種にも守るべき家族や友人がいることを知っていく。一方、喰種を駆逐する人間側の捜査官、亜門（鈴木伸之）と真戸（大泉洋）がカネキたちの前に現れ、人間と喰種、それぞれの正義が激突する戦いが幕を開ける。人間と喰種の間に立ち、自らの存在に苦悩するカネキは、どの道を選ぶのか？

キャスト

カネキ: 窪田正孝
トーカ: 清水富美加
亜門: 鈴木伸之
ヒナミ: 桜田ひより
リゼ: 蒼井優
真戸: 大泉洋
芳村: 村井國夫
西尾錦: 白石隼也
ウタ: 坂東巳之助
入見カヤ: 相田翔子
古間円児: 浜野謙太

主題歌・楽曲

主題歌: 「BANKA」illion（野田洋次郎）

受賞歴

詳細情報なし

撮影秘話

主人公カネキを演じた窪田正孝は、役作りのため体重を減らし、原作のイメージに忠実に体を絞り込んだそうです。
喰種の象徴である「赫子（かぐね）」は、CGによって見事に再現されており、原作の迫力あるバトルシーンを実写で表現することに成功しています。
喰種たちが集まる喫茶店「あんていく」は、セットを細部まで作り込むことで、原作の持つ独特な雰囲気を再現しています。

感想

原作の持つ世界観とテーマを、実写ならではの迫力と繊細な描写で表現した意欲作だと感じました。特に、窪田正孝さんが演じるカネキの、人間としての苦悩と、喰種としての本能に抗う姿は、観る者の心を揺さぶります。また、喰種側、人間側、それぞれのキャラクターにしっかりとした背景と信念があり、どちらの立場にも感情移入できる点が素晴らしいです。アクションシーンも迫力満点で、原作ファンも納得の出来栄えでした。

レビュー

肯定的な意見

・「原作の雰囲気を壊さずに、実写ならではの迫力があった。」

・「窪田正孝さんの演技が圧巻。カネキの葛藤が痛いほど伝わってきた。」

・「大泉洋さんが演じる真戸が、原作以上に狂気じみていて良かった。」

否定的な意見

・「原作の物語を駆け足で描いているため、少し物足りない部分があった。」

・「一部のキャラクターの掘り下げが浅いように感じた。」

考察

「人」とは何か？

この映画の最大のテーマは、「人」とは何か、という問いでしょう。見た目は人間と変わらない喰種。彼らはただ生きるために、人間を喰らう。一方、人間もまた、喰種を「駆逐すべき怪物」として一方的に断罪する。カネキは、そのどちらの側にも属する存在となったことで、両者の正義と悲哀を同時に知ります。私たちは、何をもって「人」と定義するのか？そして、自らの存在とどう向き合って生きていくのか？という普遍的なテーマを投げかけている作品です。

共存の可能性

喰種と人間は、果たして共存できるのか？映画はその答えを明確には示しません。しかし、「あんていく」という喫茶店は、その共存の可能性を象徴する場所です。そこでは、喰種たちは人間から奪うことなく、互いに助け合い、穏やかに暮らしています。カネキは、その場所を通して、喰種たちもまた、私たちと同じ「生きる存在」であることを知るのです。

※以下、映画のラストに関する重大なネタバレが含まれます。
未視聴の方はご注意ください。

ラスト

ヒナミの母親を殺した亜門と真戸が「あんていく」に現れ、熾烈な戦いが繰り広げられます。カネキはトーカやヒナミを守るため、そして自らの居場所を守るために、喰種の力を解放し、真戸と激しいバトルを繰り広げます。真戸を倒したカネキは、彼を殺すことはせず、人間としての心を保ちます。一方、ヒナミは母親の敵討ちのため、真戸に致命傷を与えます。ラストシーンでは、カネキが「あんていく」の仲間たちと共に、人間と喰種の間に生きることを決意し、新たな一歩を踏み出す姿が描かれます。