レオナルド・ディカプリオ主演映画『レヴェナント：蘇えりし者』：壮絶なサバイバルと復讐の果てに何が残るのか？ - 【ネタバレあり】*ぽかぽか映画日和* ー秒でその映画にちょっと詳しくなる場所ー

レオナルド・ディカプリオ主演『レヴェナント：蘇えりし者』：壮絶なサバイバルと復讐の果てに何が残るのか？

2016年、第88回アカデミー賞でレオナルド・ディカプリオに悲願の主演男優賞をもたらした傑作、それが映画『レヴェナント：蘇えりし者』（原題：The Revenant）です。19世紀の北米を舞台に、ハンターのヒュー・グラスが経験する想像を絶するサバイバルと復讐の旅を描いたこの作品は、観客を極寒の荒野へと引きずり込みます。自然の脅威、人間の裏切り、そして生存への執念が、圧倒的な映像美で描き出されるこの映画は、単なる復讐劇を超えた、魂の物語です。

レオナルド・ディカプリオ主演『レヴェナント：蘇えりし者』：壮絶なサバイバルと復讐の果てに何が残るのか？

概要・原題

原題: The Revenant
公開年: 2015年
上映時間: 156分
ジャンル: サバイバル、アドベンチャー、スリラー、ドラマ
監督: アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
脚本: アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、マーク・L・スミス
原作: マイケル・パンケ著「レヴェナント蘇えりし者」

あらすじ

1823年、アメリカ北西部の未開拓地。毛皮を求めるハンター集団の一員であるヒュー・グラスは、先住民の襲撃から逃れ、故郷への帰路についていました。しかし、巨大な熊に襲われ、瀕死の重傷を負ってしまいます。同行は不可能と判断したリーダーは、息子のホークと2人の仲間、フィッツジェラルドとブリッジャーをグラスの看病役として残します。しかし、生き埋めにしてしまおうと企むフィッツジェラルドは、グラスの目の前で彼の息子ホークを殺害し、そのまま逃走。死の淵から奇跡的に蘇ったグラスは、ただ一つの目的、フィッツジェラルドへの復讐のため、傷だらけの身体で過酷な旅に出ることを決意します。飢えと寒さ、そしてさらなる脅威が彼を待ち受けていました。

キャスト

ヒュー・グラス: レオナルド・ディカプリオ
ジョン・フィッツジェラルド: トム・ハーディ
アンドリュー・ヘンリー: ドーナル・グリーソン
ジム・ブリッジャー: ウィル・ポールター
ホーク: フォレスト・グッドラック

主題歌・楽曲

音楽: 坂本龍一、アルヴァ・ノト、ブライス・デスナー
特記事項: 坂本龍一が担当したミニマルで不穏なサウンドトラックは、映画の緊張感を高め、観客を物語の世界に深く引き込みます。

受賞歴

第88回アカデミー賞主演男優賞（レオナルド・ディカプリオ）、監督賞、撮影賞
第73回ゴールデングローブ賞ドラマ部門作品賞、監督賞、主演男優賞
英国アカデミー賞作品賞、主演男優賞、撮影賞、音響賞、メイクアップ＆ヘア賞

撮影秘話

本作の撮影は、極寒のカナダやアルゼンチンで行われました。監督のこだわりで自然光のみを使用し、キャストやスタッフは想像を絶する厳しい環境下で撮影に挑みました。
レオナルド・ディカプリオは役作りのため、菜食主義者でありながら生のバイソンレバーを食すなど、徹底した役作りで知られています。
撮影期間は80日間の予定が9ヶ月間に延長され、その過酷さが話題になりました。

感想

この映画は、まずその映像体験に圧倒されます。エマニュエル・ルベツキによる壮大で美しい自然の風景と、手持ちカメラによる臨場感あふれる映像は、観客をまるでグラスの隣にいるかのように感じさせます。物語の展開はシンプルながらも、その壮絶な描写は目を覆いたくなるほど。しかし、同時に生きることへの執念や、父としての深い愛情が描かれており、観客の心に強く訴えかけます。レオナルド・ディカプリオの演技はもはや役を超越しており、言葉に頼らない表情や行動だけでグラスの感情を伝える姿は圧巻です。

レビュー

肯定的な意見

・「映像が信じられないほど美しい。映画というよりアート作品だ。」

・「ディカプリオの演技はキャリア最高傑作。オスカー受賞も納得。」

・「復讐というテーマだが、それ以上に人間の生命力や、自然の偉大さを感じた。」

否定的な意見

・「描写が過激で、終始つらい気持ちになった。」

・「物語の展開が単調に感じられる部分があった。」

考察

復讐の果てにあるもの

グラスの旅は、フィッツジェラルドへの復讐という明確な目的から始まります。しかし、過酷な旅路を経て、彼の心境には変化が訪れます。彼を突き動かしていたのは復讐心だけでなく、生存への本能的な執着と、息子への深い愛だったのかもしれません。そして、物語の結末は、復讐が必ずしも心の平穏をもたらすわけではないことを示唆しています。グラスは復讐を果たしたのでしょうか、それとも別の何かを見出したのでしょうか。

人間と自然の対峙

本作において、自然は単なる背景ではありません。それは登場人物たちに襲いかかる最大の脅威であり、同時に彼らの心を癒す存在でもあります。冷たい雪、容赦ない吹雪、そしてヒグマ。グラスは自然の猛威にさらされながらも、その中に生きる知恵と力を得ていきます。この映画は、人間が自然を征服するのではなく、いかに共存し、そしてその力に敬意を払うべきかという問いを投げかけています。

※以下、映画のラストに関する重大なネタバレが含まれます。
未視聴の方はご注意ください。

ラスト

復讐心に燃えてフィッツジェラルドを追いつめたグラスは、ついに彼と一騎打ちになります。激しい格闘の末、グラスはフィッツジェラルドを討ち果たしますが、最終的に彼を川に流し、ネイティブアメリカンにそのとどめを刺させます。復讐を成し遂げたグラスは、息子ホークの幻影を見ながら、静かに、そして孤独に荒野をさまよいます。最後にグラスがカメラに向かってじっと見つめるラストシーンは、観客に「あなたは今、何を見ていますか？」と問いかけているかのようです。

視聴方法

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まとめ

『レヴェナント：蘇えりし者』は、壮絶なサバイバルを描きながらも、人間の本質、そして自然との関係を深く考えさせる傑作です。レオナルド・ディカプリオの全身全霊の演技、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の徹底した演出、そして美しいながらも過酷な自然の描写は、観る者に忘れられない体験を与えてくれます。配信済みですので、ぜひアマゾンプライムビデオなどでその世界を体験してみてください。