映画『トゥループ・ゼロ~夜空に恋したガールスカウト』:宇宙にメッセージを!1977年、はみだし者たちの友情と夢を追うガールスカウト物語

1977年、アメリカ・ジョージア州の郊外。周りの世界になじめず、宇宙に強く憧れを抱く風変わりな少女クリスマス・フリントが主人公です。彼女は、ガールスカウトの大会で優勝すれば、NASAのゴールデン・レコードに自分のメッセージを録音して宇宙へ送れることを知り、夢を叶えるために奔走します。急いで集められたのは、彼女と同じくどこか周りから浮いた個性豊かな仲間たち。寄せ集めのガールスカウトチーム「トゥループ・ゼロ」が結成され、それは、彼女たちの永遠に続く友情と、自分らしさを見つけるための、レトロで感動的なサバイバル(?)の始まりでした。プロデューサーとしても参加しているヴィオラ・デイヴィスやマッケナ・グレイスなど、豪華キャストが脇を固めます。
概要・原題
- 原題: Troop Zero
- 公開年: 2019年
- 上映時間: 94分
- ジャンル: コメディ、ドラマ、青春
- 監督: バート&バーティ(Bert & Bertie)
- 脚本: ルーシー・アリス
- 製作国: アメリカ
- 特記事項: Amazon Studios製作のオリジナル映画で、1970年代のノスタルジーと、異端児たちが力を合わせる「ルーザーズ・サクセスストーリー」の要素を持つ作品です。サンダンス映画祭でプレミア上映されました。
あらすじ
主人公のクリスマス・フリントは、亡き母の影響で宇宙に夢中な少女。彼女の周りには、少し風変わりな葬儀屋で働く父と、奇妙な仲間たちしかいませんでした。そんなクリスマスは、地域で開催されるガールスカウトの大会「ジャミングカナー」で優勝すると、NASAのボイジャー計画で宇宙に送られるゴールデン・レコードに自分の声を吹き込む権利が得られると知ります。大宇宙に自分の存在を証明したいクリスマスは、急遽、弁護士のアリ(ヴィオラ・デイヴィス)をリーダーに迎え、自分と同じく学校で孤立している変わり者たちを集め、「トゥループ・ゼロ」を結成します。規律正しい地元の人気ガールスカウトチームと対立しながら、トゥループ・ゼロのメンバーたちは、時に失敗を重ね、時に衝突しつつも、大会を通じてかけがえのない友情と自信を見つけていきます。
キャスト
- クリスマス・フリント: マッケナ・グレイス
- アリ弁護士: ヴィオラ・デイヴィス
- スキップ・ホッパー(ライバルのリーダー): アリソン・ジャネイ
- ポッパー(クリスマスの父): ジム・ガフィガン
- レイモンド: チャーリー・ショットウェル
- ミス・ジェニス: マイク・エップス
主題歌・楽曲
- 音楽: ロブ・シモンセン
- 特記事項: 舞台が1977年ということもあり、当時のレトロな雰囲気や、宇宙開発時代のアメリカン・ポップカルチャーを反映した楽曲が多用されています。特に、クリスマスの夢や仲間との絆を表現するシーンでは、エモーショナルな楽曲が使用され、観客の感動を誘います。
受賞歴
- サンダンス映画祭(2019年)でプレミア上映され、作品のテーマ性やマッケナ・グレイスの演技、そして監督のバート&バーティの独創的な演出が高く評価されました。
- 特に、批評家からは、ヴィオラ・デイヴィスとアリソン・ジャネイといったオスカー受賞女優たちの名演も注目されました。
撮影秘話
- 映画プロデューサーの一人であるヴィオラ・デイヴィスは、脚本のメッセージ性に共感し、自ら出演も果たしています。彼女は「自分らしく生きること」というテーマを強く支持しました。
- 1977年のジョージア州の雰囲気を再現するため、美術や衣装には細部にまでこだわり、ノスタルジックで温かい映像美が作り上げられました。
- 子役たちが中心の撮影でありながら、キャストのチームワークが非常に良く、それが「トゥループ・ゼロ」のメンバーたちの本物の友情としてスクリーンに映し出されています。
- 監督のバート&バーティは女性二人組であり、本作の持つ繊細かつ力強い女性たちの物語を、独自の視点で丁寧に描き出しました。
感想
この映画は、自分たちが「変わり者」だと感じているすべての人々へ向けた、心温まるラブレターです。クリスマス・フリントが宇宙に送りたいと願うメッセージは、居場所のない孤独な子供たちの叫びであり、それがトゥループ・ゼロの結成を通じて、希望へと変わっていく過程が感動的です。周囲の差別や嘲笑に負けず、不器用ながらもまっすぐに夢を追う少女たちの姿は、観客に深い共感を呼び起こします。特に、ユーモラスなタッチで描かれる1970年代の雰囲気と、時代を超えて普遍的な友情のテーマが見事に調和しています。
レビュー
肯定的な意見
・「孤独な少女たちが絆を深める過程がとても愛おしい。笑いと涙のバランスが絶妙。」
・「マッケナ・グレイスの純粋な演技と、ヴィオラ・デイヴィスの存在感が素晴らしい。」
・「1970年代のノスタルジー溢れる映像と、心に響くテーマソングが心地良い。」
否定的な意見
・「ストーリー展開がやや古典的なサクセスストーリーの枠を出ていない。」
・「ライバルチームの描写がステレオタイプすぎると感じる部分がある。」
考察
「ゴールデン・レコード」に託された願い
クリスマスが宇宙に送りたかった「ゴールデン・レコード」は、単なる科学的な記録ではなく、「自分たちを理解してくれる場所」への究極の憧れを象徴しています。地球上で居場所を見つけられない彼女にとって、宇宙は、誰にも邪魔されない、無限の可能性を秘めた唯一の避難所です。彼女が声を録音しようとする行為は、周囲に否定される自分の価値や、トゥループ・ゼロの仲間たちとの絆を、永遠に保存したいという切実な願いの表れと言えます。
時代背景と「異端児」の肯定
1977年という時代設定は、アメリカがベトナム戦争の傷から立ち直り、新たな未来(特に宇宙)に希望を見出していた時期です。しかし、同時に、地方社会には強い偏見や画一化された価値観が残っていました。トゥループ・ゼロのメンバーは、その主流からはみ出した「異端児」たちです。この映画は、彼女たちが「普通」になろうとするのではなく、「異端児」であることを誇りに思い、互いの違いを肯定し合うことで、真の強さを手に入れる物語として機能しています。
※以下、映画のラストに関する重大なネタバレが含まれます。
未視聴の方はご注意ください。
ラスト
ジャミングカナーの大会当日、トゥループ・ゼロはライバルチームの妨害や、予期せぬトラブルに見舞われながらも、仲間と協力して困難を乗り越えます。しかし、技術点や採点方法の点で優位に立てず、結果的に大会での優勝を逃してしまいます。絶望するクリスマスたち。ところが、実は彼らの努力と、宇宙への純粋な情熱を目の当たりにしていたアリ弁護士が、NASAの担当者に直接掛け合い、クリスマスのメッセージを録音するチャンスを極秘で手配していたことが判明します。ラストシーンでは、トゥループ・ゼロのメンバーたちが録音したメッセージが、実際にボイジャー探査機の一部として宇宙へ飛び立っていく様子が、感動的に描かれます。彼女たちの声は、地球のどこでもない、遥か遠い宇宙へと届くのです。
視聴方法
DVD&Blu-ray情報
まとめ
映画『トゥループ・ゼロ~夜空に恋したガールスカウト』は、周りに馴染めなくても、自分らしく夢を追い続けることの尊さを教えてくれる、温かく、そして力強い作品です。個性豊かな少女たちが織りなす友情と、1970年代のレトロな雰囲気が見事に融合しており、観終わった後にはきっと心が満たされます。はみだし者たちの挑戦と成長の物語を、ぜひ楽しんでみてください。
映画のジャンル
コメディ、ドラマ、青春、友情
- トゥループ・ゼロ
- Troop Zero
- マッケナ・グレイス
- ヴィオラ・デイヴィス
- ガールスカウト
- 宇宙

