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映画『犬ヶ島』:ウェス・アンダーソンが描く奇妙で愛おしい日本。ストップモーションで贈る犬と少年の冒険譚

 

映画『犬ヶ島』:ウェス・アンダーソンが描く奇妙で愛おしい日本。ストップモーションで贈る犬と少年の冒険譚

映画 犬ヶ島 のポスター

グランド・ブダペスト・ホテルなどで知られる鬼才ウェス・アンダーソン監督が、日本を舞台に描いたストップモーションアニメーションの傑作です。近未来の日本、メガ崎市を舞台に、ゴミの島へ追放された愛犬を救おうとする少年と、そこで出会う犬たちの絆を描いています。独特の色彩感覚とシンメトリーな画面構成、そして少し毒のあるユーモアが融合した唯一無二の作品です。

 

 

 

 

概要・原題

 

  • 原題: Isle of Dogs
  • 公開年: 2018年
  • 監督: ウェス・アンダーソン
  • 脚本: ウェス・アンダーソン、ロマン・コッポラ、ジェイソン・シュワルツマン、野村訓市
  • ジャンル: アニメーション、アドベンチャー、コメディ
  • 上映時間: 101分

 

あらすじ

 

近未来の日本、メガ崎市ではドッグ病が蔓延していました。犬嫌いの小林市長は、すべての犬をゴミ集積場である犬ヶ島へ追放することを決定します。最初に追放されたのは、市長の養子である少年アタリの護衛犬スポッツでした。半年後、アタリはたった一人で小型飛行機を盗み、愛犬スポッツを救い出すために犬ヶ島へと降り立ちます。そこで出会った5匹の個性豊かな元飼い犬たちと共に、アタリは島を捜索し始めます。一方、メガ崎市ではドッグ病の治療法を巡る陰謀が渦巻いていました。

 

キャスト

 

  • チーフ: ブライアン・クランストン(野良犬出身の黒犬)
  • レックス: エドワード・ノートン(犬たちのリーダー格)
  • アタリ: コーユー・ランキン(愛犬を救いに来た少年)
  • 小林市長: 野村訓市(犬の追放を命じた独裁者)
  • スポッツ: リーヴ・シュレイバー(アタリの親友で護衛犬)
  • トレイシー・ウォーカー: グレタ・ガーウィグ(真相を追う交換留学生)
  • その他の声優: ビル・マーレイ、ジェフ・ゴールドブラム、スカーレット・ヨハンソン、ティルダ・スウィントン、渡辺謙、夏木マリ

 

主題歌・楽曲

 

  • 音楽: アレクサンドル・デスプラ
  • 特徴: 黒澤明監督の映画にインスパイアされたという力強い太鼓の音色が、日本的な雰囲気を強調しています。全体的にパーカッションを多用したリズムカルな楽曲が多く、独特のテンポ感を生み出しています。

 

受賞歴

 

  • 第68回ベルリン国際映画祭: 銀熊賞(監督賞)受賞
  • 第91回アカデミー賞: 長編アニメ映画賞、作曲賞ノミネート
  • 第76回ゴールデングローブ賞: アニメ映画賞ノミネート

 

撮影秘話

 

  • 制作には約2年が費やされ、パペット(人形)の数は犬が約500体、人間が約500体も作成されました。
  • ウェス・アンダーソン監督は日本映画、特に黒澤明監督や宮崎駿監督の作品から多大な影響を受けていると公言しています。
  • ストップモーション特有の質感を出すため、綿を使った雲や、手作りのミニチュアセットが非常に精巧に作り込まれています。

 

感想

 

最初は3Dアニメーションかと思って観ていましたが、すべて手作りの人形を動かすストップモーションだと知って驚愕しました。物凄い数のキャラクターが出てきますが、一体一体の動きに表情があり、毛並みの質感までこだわりが感じられます。独裁的な市長と、それに立ち向かう少年と犬たちというシンプルな構図ながら、ウェス・アンダーソンらしいシュールな笑いと毒が効いています。廃棄物問題や疫病といった重いテーマを扱いながら、人形劇としての可愛らしさが中和してくれており、独特の温度感が心地よい作品でした。

 

レビュー

 

肯定的な意見

・映像のディテールが凄まじく、どこを切り取っても絵画のような美しさがある。

・犬たちの会話が知的で軽快、ジョークのセンスが非常に良い。

・日本へのラブレターのような、細部までこだわり抜かれた日本描写が面白い。

 

否定的な意見

・日本語と英語が混在し、あえて翻訳されない部分もあるため、初見では少し戸惑うかもしれない。

・海外から見た日本というステレオタイプな描写が鼻につく人もいる可能性がある。

 

考察

 

外国人が描く奇妙な日本

本作で描かれる日本は、実在の日本というよりは、ウェス・アンダーソンが愛する日本文化をコラージュした架空の空間です。あえて勘違いしたような描写を取り入れているのは、寓話としての純度を高める意図があるように感じられます。このヘンテコリンな世界観が、ストップモーションの質感をより引き立てています。

 

犬と人間の支配関係

物語の根底には、人間が自然や動物をどのようにコントロールしようとするかというテーマがあります。犬は飼い犬であることに価値があるという普遍的な価値観を提示しつつも、野良犬であったチーフの成長を通じて、絆の本質を問いかけています。環境問題や独裁への批判といった社会的なメタファーも含まれている多層的な作品です。

 

 

※以下、映画のラストに関する重大なネタバレが含まれます。
未視聴の方はご注意ください。

 

ラスト

 

アタリと犬たちは、島で死んだと思われていたスポッツを発見します。スポッツは島の先住犬たちのリーダーとなり、子供も生まれていました。アタリは、追放された犬たちの病を治す血清を手に入れるため、メガ崎市へと戻ります。小林市長の再選を阻み、ドッグ病が捏造であったことを暴いたアタリは、新しい市長に就任します。犬たちは名誉を回復され、再び人間との共生が認められることになります。スポッツは引退し、チーフがアタリの新しい護衛犬として寄り添う姿で物語は幕を閉じます。少年と犬がそれぞれの立場を理解し、手を取り合う希望に満ちたエンディングです。

 

視聴方法

 

 

DVD&Blu-ray情報

 

DVDおよびブルーレイには、パペットの制作過程やセットの裏側を収めた豪華なメイキング映像が収録されています。ウェス・アンダーソンの美学がどのように形作られたのかを知ることができる、ファン必見の内容となっています。

 

 

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まとめ

 

映画『犬ヶ島』は、ストップモーションという手法を選んだからこそ到達できた、圧倒的なビジュアルとストーリーテリングが融合した作品です。日本の緩さや奇妙さを絶妙な温度感で描きつつ、犬と少年の友情という普遍的な感動を届けてくれます。ウェス・アンダーソン監督の独特な毒と愛に触れたい方に、ぜひおすすめしたい一本です。

 

映画のジャンル

 

アニメーション、アドベンチャー、SFコメディ

  • 犬ヶ島
  • ウェス・アンダーソン
  • ストップモーションアニメ
  • 日本 舞台 映画
  • 犬 映画
  • メガ崎市
  • ベルリン国際映画祭 監督賞
  • パペットアニメーション