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映画『ヒューマン・キャッチャー』:ビクトル・サルバ監督。スクールバスを襲う怪物クリーパーの恐怖と、突如として覚醒した予知能力者、そして執念の復讐劇を描くアメリカン・モンスター・パニックの代表作

 

映画『ヒューマン・キャッチャー』:ビクトル・サルバ監督。スクールバスを襲う怪物クリーパーの恐怖と、突如として覚醒した予知能力者、そして執念の復讐劇を描くアメリカン・モンスター・パニックの代表作

映画 ヒューマン・キャッチャーのポスター

2003年に公開された映画『ヒューマン・キャッチャー』(原題:Jeepers Creepers 2)は、23年ごとに23日間現れ、人間の肉体を喰らう不死身の怪物クリーパーの恐怖を描き大ヒットした『ジーパーズ・クリーパーズ』の正統続編です。前作に引き続きビクトル・サルバ監督がメガホンを取り、今度は広大な一本道で立ち往生したスクールバスという閉鎖空間を舞台に、高校のアメフト部員やチアリーダーたちが怪物の餌食となっていく壮絶なサバイバルを活写します。前作以上のスケールと、独自のSFX技術、そして怪物の天敵となるリベンジャーの登場により、アメリカンホラーを代表するパニックアクションの傑作へと進化を遂げました。

 

 

 

 

概要・原題

 

  • 原題:Jeepers Creepers 2
  • 公開年:2003年
  • 上映時間:104分
  • ジャンル:ホラー、モンスター、パニック、スリラー
  • 監督:ビクトル・サルバ
  • 脚本:ビクトル・サルバ
  • 製作:トム・ルーズ

 

あらすじ

 

23年に一度、23日間にわたって人間を捕食する邪悪な怪物クリーパーの活動期も、いよいよ残りあと2日となった22日目。ある農場では、ジャック・タガートの幼い息子ビリーが、トウモロコシ畑でカカシのふりをして潜んでいたクリーパーに突如連れ去られ、タガートの目の前で命を奪われてしまいます。そして翌日の23日目、すなわちクリーパーが再び休眠に入る活動限界の最終日。大会を終えた高校のアメフトチーム、チアリーダー、そしてコーチ陣を乗せたスクールバスが、人気のないハイウェイを走っていました。しかし、クリーパーが放った鋭利な骨の武器によってタイヤがパンクし、バスは荒野の真ん中で身動きが取れなくなってしまいます。通信手段も絶たれ、孤立無援となった一行。やがて日が暮れると、闇の中からクリーパーが襲来し、大人たちを次々と殺害して連れ去っていきます。残された若者たちは、バスという狭い鉄の箱に閉じ込められたまま絶望に直面します。この日の夜が明けて日の出を迎えると、クリーパーは活動限界を迎えて強制的に23年間の眠りに入ってしまうため、怪物にとってはこれが最後の捕食のチャンスであり、夜明けが迫るにつれてその襲撃は激しさを増していきます。その時、女子生徒の一人であるミンクシーが、夢の中で過去にクリーパーの犠牲となった者たちや、前作の主人公ダーリーからの警告を受け、怪物の性質と弱点を知る予言者として突然覚醒します。一方、愛する息子を奪われたタガートは、自作の巨大なハープーン(銛)を車に搭載し、怪物を仕留めるために無線を頼りにハイウェイを激走していました。夜が明けるまでの限られたタイムリミットの中、恐怖に駆られ車内で対立する生徒たちと、バスの天井を切り裂いて迫るクリーパー、そして執念の復讐鬼タガートの三つ巴の戦いが始まります。

 

キャスト

 

  • ジャック・タガート:レイ・ワイズ
  • スコット・ブラドック:エリック・ネニンガー
  • デアンドレ・ボス:ガリカイ・ムタンビルワ
  • ミンクシー・ヘイズ:ニキ・エイコックス
  • ジャック・タガート・ジュニア:トラヴィス・ペン(青年期)、ルーク・エドワーズ(少年期)
  • クリーパー:ジョナサン・ブレック

 

主題歌・楽曲

 

  • 音楽:ベネット・サルヴェイ
  • 特記事項:前作を象徴する不気味な古いスタンダード曲「ジーパーズ・クリーパーズ」のメロディを踏襲しつつ、オーケストラによる重厚でクラシカルなホラー音楽が展開されます。バスを追撃するクリーパーの羽ばたきや、タガートが自作武器を構えるシーンでの高揚感ある金管楽器の音色が、パニック映画としてのスケール感を大幅に盛り上げています。

 

受賞歴

 

  • 2004年度のサターン賞にて、最優秀ホラー映画賞にノミネートされました。
  • 特殊メイクとクリーチャーデザインの完成度の高さが評価され、数々のファンタスティック映画祭で高い人気を獲得しました。

 

撮影秘話

 

  • 監督のビクトル・サルバは、前作で大ヒットを記録したため、製作総指揮のフランシス・フォード・コッポラらのバックアップを得て、よりアクション性の高い続編を構築しました。
  • ジャック・タガートを演じたレイ・ワイズは、名作『ツイン・ピークス』の父親役などで知られるベテランですが、本作では角材や自作の巨大銛を振り回す狂気に満ちた復讐者を熱演し、新たなアクションスターとしての魅力を開拓しました。
  • バスのタイヤをパンクさせた手裏剣のような武器は、人間の髪の毛や骨、歯などを組み合わせて作られた精巧な小道具であり、クリーパーの異常な生態を視覚的に説明するために細部までこだわってデザインされました。

 

感想

 

非常に王道で、最初から最後まで息つく暇もなく楽しめる素晴らしいアメリカン・モンスター・パニック映画です。前作のような「何者か分からない不気味な存在に追われる」というサスペンス的な恐怖から、今作では「武装した怪物に対して、人間たちがどのように知恵と力で立ち向かうか」という、非常にアクティブなサバイバル劇へと進化しています。アメフト部という肉体派の若者たちであっても、クリーパーの圧倒的な怪力と飛行能力の前には手も足も出ない絶望感が実に見事です。さらに、何の脈絡もなく、バスに乗っている女子生徒の一人が急に霊能力者として爆誕し、夢を通じてクリーパーのルールを説明してくれるという強引かつ便利な展開には少し笑ってしまいましたが、これが物語のテンポを良くするための良いスパイスになっています。タガートが改造車を駆って怪物を迎え撃つシーンの熱さは、ホラー映画というよりは怪獣決戦のような爽快感があり、後味も非常に満足度の高い仕上がりでした。

 

レビュー

 

肯定的な意見

・前作の閉塞感を残しつつ、バスというシチュエーションを活かしたスリラー演出が素晴らしい。

・復讐に燃える親父タガートが本当に格好いい。怪物相手に一歩も引かない泥臭い戦いぶりに胸が熱くなる。

・クリーパーの不気味な造形と、獲物を選別する際のニヤニヤとした表情の恐怖感が秀逸。

否定的な意見

・前作の持つじわじわとした不気味な日常の浸食感を期待すると、アクション寄りの作風に驚くかもしれない。

・キャラクターが多いため、何人かの生徒の扱いが少し雑に感じられる部分もあるが、スラッシャー映画としては王道の構成である。

 

考察

 

23日間という活動期間と夜明けのタイムリミット

クリーパーは23年ごとに23日間だけ活動するという絶対的なルールを持っています。本作『ヒューマン・キャッチャー』が実質的に「最後の1夜(夜が明けるまで)」の戦いとして描かれているのは、ストーリーの舞台がその23日間の活動期のまさに最終日(23日目)だからです。日の出とともに強制的に眠りにつかなければならないクリーパーにとって、アメフト部のバスを襲撃する時間は文字通り最後の最後のチャンスでした。だからこそ、怪物はなりふり構わず、夜明けが近づくにつれて焦るように凶暴性を増していったのです。この活動期全体の23日間というルールと、劇中で描かれる最後の1夜のタイムリミットという構造が、パニック映画としての緊張感を極限まで高めています。

 

突如として爆誕した予言者ミンクシーの役割

アメフト部員たちがパニックに陥る中、女子生徒ミンクシーが突然「霊能力者」として目覚める展開は、本作のストーリーテリングにおける重要な仕掛けです。彼女は夢を通じて、前作の被害者であるダーリーの魂と交信し、クリーパーが「人間の恐怖の匂いを嗅ぎ分け、必要なパーツを食べることで自分の肉体を再生する」というルールを観客と共有します。これにより、限られた時間内での情報提供がスムーズになり、観客もまた、どの生徒がクリーパーに狙われるのかを推理する楽しみが生まれます。超常現象に対して、別の超常的なアプローチで対抗するというホラー映画ならではのダイナミズムを体現しています。

 

タガートの復讐車とアメリカ的な自助努力の精神

息子を殺された父親タガートが、警察に頼ることなく、自ら古いトラックを改造して巨大な銛(ハープーン)発射装置を作り上げる姿は、アメリカ的なフロンティア精神や「自分の身は自分で守り、自らの手で正義を果たす」という個人主義を強く反映しています。怪物という圧倒的な超越種に対し、人間が知恵と技術、そして執念という道具を使って対等に渡り合う構図は、非常に熱いカタルシスを生み出しています。

 

 

※以下、映画のラストに関する重大なネタバレが含まれます。
未視聴の方はご注意ください。

 

ラスト

 

物語のクライマックス、タガートの改造トラックがバスの現場に到着し、クリーパーとの直接対決が幕を開けます。タガートは自作の巨大ハープーンを何度もクリーパーに打ち込み、動きを制限しようとします。クリーパーは満身創痍になりながらも、生存者の若者を喰らうことで自分の失った頭部や手足をその場で再生させていくという驚異の自己修復能力を見せます。しかし、活動期間である23日目の夜が明けるタイムリミットが刻一刻と迫っていました。タガートは這いつくばるクリーパーの上にまたがり、その頭部に何度も太い杭を突き刺します。ついに夜が明け、23日目の終わりを迎えたその瞬間、クリーパーは活動限界を迎え、肉体が枯れ果てたミイラのように硬化して長い眠り(次の23年間)に入りました。それから23年後の未来。老いたタガートの農場には、看板が掲げられ、有料の観光スポットのようになっていました。そこを訪れた若者たちが案内された納屋の壁には、干からびた状態で磔にされたクリーパーの肉体が飾られていました。手元には、いつでも怪物を撃ち抜けるように狙いを定めた、あの巨大ハープーンが設置されています。タガートは、いつか必ず目を覚ます怪物の復活の瞬間を、23年間片時も休むことなく待ち続けていたのです。怪物の復活への恐怖と、それを迎え撃とうとする人間の狂気的な執念が静かに火花を散らす、鳥肌が立つような素晴らしい幕切れで映画は終わります。

 

視聴方法

 

 

DVD&Blu-ray情報

 

『ヒューマン・キャッチャー』のBlu-ray版には、クリーパーのスーツデザインや特殊メイクのプロセス、そしてバスの天井を切り裂くシーンなどの大がかりなスタントの舞台裏が特典映像として収録されています。レイ・ワイズによる、ハープーンを操るシーンのアクション演技についての熱いインタビューや、監督ビクトル・サルバによるコメンタリーも収録されており、モンスター映画がいかに綿密な計画の下で撮影されたかを深く知ることができる、ホラー映画ファン垂涎の内容となっています。

 

 

 

 

まとめ

 

映画『ヒューマン・キャッチャー』は、1作目の恐怖感をパワーアップさせ、アクションとパニックの魅力を最大限に詰め込んだ、アメリカンホラーを代表する金字塔です。閉ざされたバスでの若者たちの恐怖と、突然目覚めたミンクシーの予言、そして息子を奪われたタガートの何十年にもわたる執念の復讐。すべての要素が綺麗に絡み合い、息を呑むサバイバル劇として完成されています。モンスターホラーとしての楽しさと、人間側の負けない泥臭いド根性を、ぜひその目で体験してみてください。

 

映画のジャンル

 

ホラー、モンスター、パニック

  • ヒューマン・キャッチャー
  • Jeepers Creepers 2
  • ビクトル・サルバ
  • レイ・ワイズ
  • クリーパー
  • モンスターホラー
  • アメフト部
  • アメリカンホラー