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映画『またヴィンセントは襲われる』:目が合った瞬間、誰もが襲いかかってくる!理不尽な暴力パンデミックと終わらない自衛のサバイバルスリラー

 

映画『またヴィンセントは襲われる』:目が合った瞬間、誰もが襲いかかってくる!理不尽な暴力パンデミックと終わらない自衛のサバイバルスリラー

映画 またヴィンセントは襲われるのポスター

今回ご紹介するのは、ステファン・カスタン監督が手がけたフランス発の異色サスペンス・スリラー映画『またヴィンセントは襲われる』(原題:Vincent doit mourir)です。ある日突然、見知らぬ他人から同僚に至るまで、目が合った瞬間に自分へ襲いかかってくるという理不尽な怪現象に見舞われた主人公ヴィンセント。加害者たちには襲撃時の記憶すら存在せず、世界全体が無差別の暴力へと傾倒していく絶望的なシチュエーションを描いています。「目が合えば襲われる」という恐ろしい法則の中で、生き残りをかけた極限の自衛と逃走劇が展開される刺激的な一作です。

 

 

 

 

概要・原題

 

  • 原題: Vincent doit mourir (Vincent Must Die)
  • 公開年: 2023年
  • 上映時間: 108分
  • ジャンル: スリラー、サスペンス、ブラックコメディ、ホラー
  • 監督: ステファン・カスタン(Stéphan Castang)
  • 脚本: マチュー・ナエル(Mathieu Naert)
  • 製作国: フランス、ベルギー
  • 映倫区分: R15+

 

あらすじ

 

デザイン会社で働く平凡な男性ヴィンセント(ヴァンサン)は、ある日職場で実習生から突然文房具で激しい暴行を受けます。怪我も癒えぬうちに、今度は別の同僚から殺意に満ちた襲撃を受ける事態が発生。奇怪なことに、暴力を振るった加害者たちは襲撃している最中の記憶が一切ないと証言し、ヴィンセント自身がトラブルの原因を作っているのではないかと疑われてしまいます。しかし、異変は社内だけに留まらず、街中で見知らぬ他人と目線が合っただけでも突然襲いかかられるようになります。「自分と目が合った瞬間に人々は暴力的になる」という法則を突き止めたヴィンセントは、人里離れた実家へ避難し、不気味な現象からの生き残りをかけた厳重な自衛を開始します。しかし、この謎の現象は彼一人だけでなく、フランス全土へ恐ろしい広がりを見せていくのでした。

 

キャスト

 

  • ヴィンセント(ヴァンサン)役: カリム・ルクルー
  • マルゴー役: ヴィマラ・ポンス
  • ジョアキム役: フランソワ・シャトー
  • カロリン役: カロリン・ローズ・サン
  • ジャン=レミ役: ジャン=レミ・シェイズ

 

主題歌・楽曲

 

  • 音楽: ジョン・カセル(John Kassed)
  • 特記事項: 静寂と唐突に炸裂するバイオレンスシーンを対比させる不穏で重厚なサウンドトラックが、理不尽な現象に対する緊張感と主人公の孤立感を極限まで高めています。

 

受賞歴

 

  • 第76回カンヌ国際映画祭 批評家週間部門選出
  • シッチェス・カタロニア国際映画祭 最優秀男優賞(カリム・ルクルー)、新人監督賞受賞
  • セザール賞 第一回作品賞ノミネート

 

撮影秘話

 

  • ステファン・カスタン監督は、現代社会におけるSNSやネット上の理由なき誹謗中傷、集団的な無差別の悪意を視覚的な暴力現象として表現するために本作を構想しました。
  • 主演のカリム・ルクルーは、理由も分からず突如襲われる不条理な恐怖と、生き残るために必死で抵抗・自衛する疲弊した等身大の男をリアリティたっぷりに演じ切りました。
  • 日常生活の穏やかな風景から一変して日常的な道具が武器に変貌する凄惨なアクションシーンは、CGに頼らず生々しい泥臭さを重視したアクション指導のもと撮影されました。

 

感想

 

顔を合わせただけで殺意を向けられるという、理由の分からない理不尽すぎるアイデア一本で押し切るシュールで恐ろしいサスペンス作品です。目線が合った次の瞬間に一斉に暴力へと変貌する映像のインパクトは凄まじく、何気ない日常の散歩や買い物が命がけのミッションに変わる緊迫感に終始ハラハラさせられます。一方で、加害者側には襲撃中の記憶がなく、被害者側もなぜ記録を残したり警察へ客観的な映像証拠を提出したりしないのかというツッコミどころや、ヒロインとの間で見せる目隠し動作の矛盾など、設定の強引さやツッコミどころも目立ちます。しかし、理不尽な不条理劇やブラックユーモアの効いた世紀末的パンデミック映画として観れば非常にユニークで楽しめました。

 

レビュー

 

肯定的な意見

・「目が合ったら襲われるというシンプルなルールの緊迫感が凄まじく、いつ誰が襲ってくるかわからない恐怖に引き込まれた。」

・「現代社会のSNS攻撃や無分別の悪意を風刺したようなテーマ性が深く、ブラックユーモアが効いていて面白かった。」

・「主演のカリム・ルクルーの疲弊した演技が素晴らしく、不条理な世界観の中で奮闘する姿に共感できた。」

否定的な意見

・「目が合っても襲われない瞬間があったり、目隠しのルールが適当だったりと設定の矛盾や大雑把さが気になった。」

・「結局なぜ人々が狂暴化したのかという原因や背景が最後まで一切明かされないため、不完全燃焼に感じる。」

 

考察

 

理由なき不条理と現代社会の不寛容さの象徴

物語の中で提示される「目が合うと襲う」という現象の原因は最後まで明かされません。これは、現代社会において明確な理由もなく突然向けられる悪意やネット上での集団リンチ、ヘイト感情を暗喩しています。加害者に襲撃時の記憶がないという点は、群衆心理によって自我を失い暴走する人間の不気味さを表しており、理不尽な社会の攻撃性に晒される個人の孤独と絶望が描かれています。

感染の連鎖と被害者・加害者の逆転構造

同じように襲われる被害者たちがネット上で情報を共有する一方で、フランス全土で無差別の暴力事件が激化していく展開は、暴力が伝染病のように広がっていく世界の終末を描いています。物語終盤において、これまで被害者であったヴァンサン自身が他人を襲う側に回ってしまう描写は、抑圧された暴力性が伝染し、被害者と加害者の立場が簡単に反転してしまう恐怖を象徴しています。

 

 

※以下、映画のラストに関する重大なネタバレが含まれます。
未視聴の方はご注意ください。

 

ラスト

 

ヴァンサン(ヴィンセント)は、同じように目線が合うと襲われる不条理な現象に苦しむ元大学教授のジョアキムと出会い、専用の掲示板で仲間たちと情報を共有し始めます。やがてフランス全土で同様の無分別な暴力事件が爆発的に多発し、政府の内務省が外出を控えるよう呼びかけるほどのパニックへと発展。世界は理由なき暴力を抑えきれず、まるで世紀末のような崩壊状態へと向かっていきます。

そんな中、突如としてジョアキムやヴァンサンを人々が襲わなくなる現象が発生します。しかし、それと引き換えに今度はヴァンサン自身が理由なき強い凶暴性に駆られ、周囲の人間へ襲いかかってしまう側に変化していました。狂気現象に感染すると他者を襲う存在へと変わり、一度他者を襲う側にまわることで周囲から標的にされなくなるという恐ろしい感染構造が明らかになります。文明と治安が崩壊していく中、ヴァンサンは人を避けて生きていくことを決意し、心を通わせた女性マルゴーとともに静かに船を出して沖合へ旅立っていくのでした。

 

視聴方法

 

 

DVD&Blu-ray情報

 

現在、国内盤のデジタル配信およびセル・レンタル用のDVD/Blu-rayが順次展開されています。目が合った瞬間のスリリングな緊張感やブラックユーモアあふれる不条理劇を高画質でじっくり観たい方は、各種配信プラットフォームでの視聴がおすすめです。

 

 

 

 

まとめ

 

映画『またヴィンセントは襲われる』は、「目が合ったら襲われる」という恐ろしいルールのもと繰り広げられる、フランス発の異色サスペンス・スリラーです。理由のわからない理不尽な暴力パンデミックと、生き残りをかけた極限の自衛描写は観る者に独特の緊張感を与えてくれます。公開済み・配信中ですので、不条理ホラーやブラックコメディ映画がお好きな方はぜひチェックしてみてください。

 

映画のジャンル

 

スリラー、サスペンス、ブラックコメディ、ホラー

  • またヴィンセントは襲われる
  • Vincent doit mourir
  • ステファン・カスタン
  • カリム・ルクルー
  • ヴィマラ・ポンス
  • 不条理スリラー
  • パンデミック