【ネタバレあり】*ぽかぽか映画日和* ー 秒でその映画にちょっと詳しくなる場所 ー

100%!わたしが観た映画のみです。おもにAmazonプライムビデオで鑑賞しています。 ⚠注意⚠ 映画の内容に関するネタバレ情報が含まれている可能性があります。 映画の感想や考察は、人によって異なります。ご了承ください。

わたしの好きな映画 スライドショー

わたしの好きな映画

映画『アンブレイカブル』:M・ナイト・シャマランが問いかける「不死身の男」の起源

 

映画『アンブレイカブル』:M・ナイト・シャマランが問いかける「不死身の男」の起源

映画『アンブレイカブル』のポスター

映画『アンブレイカブル』(原題:Unbreakable)は、M・ナイト・シャマラン監督が2000年に公開したミステリー・サスペンスであり、後の『スプリット』、『ミスター・ガラス』へと続く「イーストレイル177三部作」の記念すべき第1作です。フィラデルフィアで発生した凄惨な列車脱線事故。131名が死亡する大惨事の中、デヴィッド・ダン(ブルース・ウィリス)は奇跡的に無傷で生還します。彼はなぜ自分だけが助かったのか、そしてなぜ一度も病気や怪我をした記憶がないのか、という疑問を抱き始めます。そんな彼に近づいてきたのが、生涯で94回も骨折した壊れやすい肉体を持つ、コミックアート収集家のイライジャ・プライス(サミュエル・L・ジャクソン)でした。イライジャは、デヴィッドこそが、コミックブックの世界に存在する「不死身の肉体と悪を感知する力を持つヒーロー」であると確信します。自分の存在意義を問われ始めたデヴィッドは、イライジャの言葉をきっかけに、自らの特異な能力を試す旅に出ます。これは、スーパーヒーローという概念を現実世界に持ち込み、その起源と苦悩を静かに、そして深く描いた衝撃のサスペンスです。

 

 

 

 

概要・原題

 

  • 原題: Unbreakable
  • 公開年: 2000年(アメリカ)
  • 上映時間: 約107分
  • ジャンル: サスペンス、SF、ミステリー、ドラマ
  • 監督: M. Night Shyamalan(M・ナイト・シャマラン
  • プロデューサー: ゲリー・バーバー(Barry Mendel), ロジャー・バーンバウム(Roger Birnbaum), サム・マーサー(Sam Mercer)
  • 特記事項: 監督は、ヒーローの物語を「現実の神話」として描き、コミックブックの構造を物語全体に適用するという、極めて独自性の高いアプローチを取りました。

 

あらすじ

 

列車事故でただ一人の生存者となったデヴィッド・ダンは、全くの無傷でした。彼の人生は、妻オードリーとの関係の冷え込みや、警備員という平凡な仕事への不満で満たされていました。そんなデヴィッドの前に、イライジャ・プライスという風変わりな男が現れます。イライジャは、極端に骨が折れやすい先天性の難病を患っており、コミックブックの「ヒーローとヴィランは表裏一体」という法則を固く信じていました。彼は、もし自分が壊れやすい人間ならば、その対極に存在する「壊れない人間」がいるはずだと考え、デヴィッドこそがその存在だと告げます。イライジャの言葉に戸惑いながらも、デヴィッドは自分の息子ジョセフに促され、自らの能力を試すことを決意します。彼は、触れた人間の悪意を感知する能力に気づき、人知れず自警団員として活動を開始します。一方、イライジャはデヴィッドの真の能力を引き出すことに喜びを見出し、二人の関係は予期せぬ恐るべき結末へと向かっていきます。

 

キャスト    

 

 

主題歌・楽曲

 

  • 特記事項: 音楽は、著名な作曲家であるジェームズ・ニュートン・ハワード(James Newton Howard)が担当しました。彼のスコアは、この映画の持つ内省的でメランコリックなトーンを強調し、静かなドラマとミステリーを際立たせています。派手なオーケストレーションではなく、登場人物の孤独感や葛藤を表現する繊細なメロディが特徴です。

 

受賞歴   

 

  • 特記事項: 本作はアカデミー賞などの主要な賞にはノミネートされませんでしたが、その革新的なストーリーテリングと独特の雰囲気により、公開後もカルト的な人気を博し、ジャンル映画として高く評価され続けています。

 

撮影秘話  

 

  • 色使いのこだわり: シャマラン監督は、コミックブックの象徴性を表現するため、色彩に強いこだわりを持ちました。デヴィッド・ダン(ヒーロー)には「緑」、イライジャ・プライス(ヴィラン)には「紫」という色が割り当てられ、衣装や照明、背景に一貫して使用されています。
  • ブルース・ウィリスの起用: 当時、アクションスターとしてのイメージが強かったブルース・ウィリスを、内向的で傷つきやすい一人の男として描くことで、デヴィッド・ダンの超人的な能力と平凡な生活のギャップを際立たせています。

 

感想 

 

アンブレイカブル』は、従来のスーパーヒーロー映画とは一線を画す、非常に思索的な作品です。派手なアクションを期待すると肩透かしを食らうかもしれませんが、デヴィッドが自らの能力と向き合い、平凡な日常を脱却していく過程は、静かに、そして深く心に響きます。特に、イライジャのコミックの法則に基づいた世界観の語りは説得力があり、観客自身にも「ヒーローは本当に存在するのか」という問いを突きつけます。M・ナイト・シャマラン監督の巧みな演出と、ブルース・ウィリスサミュエル・L・ジャクソンの抑制された演技が光る傑作です。

 

レビュー

 

肯定的な意見

・「コミックの概念を現実世界に持ち込むという、斬新で知的なアプローチが素晴らしい。ジャンル映画の境界を広げた。」

・「抑制されたカメラワークと独特の静寂なトーンが、物語のミステリーと主人公の孤独感を効果的に高めている。」

・「ブルース・ウィリスサミュエル・L・ジャクソンの演技は素晴らしく、彼らの対話が映画の核をなしている。」

否定的な意見  

・「全体的に展開が遅く、物語の解決も唐突で、従来のヒーロー映画のようなカタルシスがない。」

・「クライマックスのどんでん返しが強烈すぎて、それまでの静かなドラマとしての良さを打ち消してしまったという意見もある。」

 

考察 

 

「コミックの法則」と運命の設計

イライジャ・プライスは、自らの脆弱な肉体と対照的なデヴィッドという存在を見つけ出すため、人生をコミックブックの法則に捧げてきました。彼は、コミックが古代の神話や伝説と同じく、現実世界に存在する超常的な真実を隠喩的に表現していると信じています。列車事故は、デヴィッドというヒーローを「発見」するためのイライジャの実験であり、彼は自らを「ヴィラン」とすることで、デヴィッドの存在を証明しようとしました。この物語は、超能力の有無というよりも、「物語の力」と「運命」を自ら設計しようとする人間の狂気的な試みを描いていると解釈できます。

 

色の象徴性:緑と紫の対立

映画全体を通して、デヴィッド・ダンは「緑」の服やアイテムを身につけ、イライジャ・プライスは「紫」の服やアイテムを多用しています。コミックの世界では、ヒーローとヴィランはしばしば補色や対照的な色で表現されます。デヴィッドの緑は、生命力、希望、あるいは警備員という彼の職業の制服の色と関連付けられます。一方、イライジャの紫は、王族、知性、そして狂気や異常性を象徴しており、彼の非凡な頭脳と壊れやすい肉体のコントラストを際立たせています。この色彩の対比は、二人の人物が運命的に対立する存在であることを視覚的に示しています。

 

 

※以下、映画の結末と物語の根幹に関する重大なネタバレが含まれる可能性があります。
未視聴の方はご注意ください。

 

ラスト

 

デヴィッドは自警団員としての活動を本格化させ、人々の悪意を感知する能力を使って、危険な犯罪者を特定し、制圧していきます。彼は、ついに自分自身の存在意義を見つけ出し、妻や息子との関係も改善し始めます。物語の終盤、デヴィッドはイライジャのコミックアートギャラリーを訪れます。そこで、イライジャから「もし私があなたと全く逆の存在なら、私がヒーローの対極、つまりヴィランになる」という言葉を聞かされます。そして、イライジャが、デヴィッドを唯一の生存者にした列車事故、そして彼が子供の頃に巻き込まれた飛行機事故など、過去に起きた多数の大事故を、デヴィッドのような「壊れない人間」を見つけ出すために、自らの手で仕組んだテロ行為であったことが判明します。イライジャは、自分自身がコミックの世界で「ミスター・ガラス」と呼ばれるヴィランの役割を果たしたのだと満足そうに告白します。デヴィッドはイライジャの悪行と、彼が自分をヒーローにするために多くの犠牲を出したという恐ろしい事実に直面し、ショックを受けます。デヴィッドは、イライジャを警察に引き渡し、物語はデヴィッドがヒーローとしての運命を受け入れ、イライジャが精神病棟に収容されるという形で幕を閉じます。

 

視聴方法

 

 

DVD&Blu-ray情報

 

 

まとめ

 

映画『アンブレイカブル』は、M・ナイト・シャマラン監督の初期の代表作であり、スーパーヒーローという概念を極めて現実的な視点から解体し、再構築した革新的な作品です。静かで内省的なトーン、計算された色彩設計、そして衝撃的なクライマックスは、公開から時を経ても色褪せません。デヴィッド・ダンとミスター・ガラス、二人の対照的な存在が織りなす物語は、観客に「あなたは、何者なのか」という問いを静かに投げかけます。後の二作品へと続く、必見のサーガの始まりです。

 

映画のジャンル 

 

サスペンス、SF、ミステリー