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映画『マザー!』:平和な家庭が地獄と化す、衝撃のサイコスリラー

 

映画『マザー!』:平和な家庭が地獄と化す、衝撃のサイコスリラー

映画 マザー!のポスター

郊外の古い屋敷で暮らす詩人(ハビエル・バルデム)と、その若い妻(ジェニファー・ローレンス)。妻は夫の創作活動を支えながら、荒廃していた家を自らの手で美しく修復することに情熱を注いでいました。彼らの穏やかで平和な家庭生活は、ある夜、突然現れた見知らぬ男(エド・ハリス)と、その翌日に現れた彼の妻(ミシェル・ファイファ)という訪問者を招き入れたことから一変します。次々と図々しい招かれざる客たちがやってくるにもかかわらず、詩人である夫は彼らを拒むことなく受け入れ続け、妻の不安と恐怖は増し、次第に家の中は混沌とした地獄のような悪夢と化していきます。ジェニファー・ローレンス主演、ダーレン・アロノフスキー監督が仕掛ける、難解にして目が離せない衝撃のサイコスリラーです。

 

 

 

 

概要・原題

 

  • 原題: mother!
  • 公開年: 2017年
  • 上映時間: 約121分
  • ジャンル: サイコスリラー、ドラマ、ホラー、ミステリー、寓話
  • 監督: ダーレン・アロノフスキー
  • プロデューサー: スコット フランクリン, アリ ハンデル, ジェフ ワックスマン, ジョシュ スターン, マーク ヘイマン

 

あらすじ

 

妻は、大火事で焼失した家を修復することに生きがいを感じ、夫の詩作を静かに支えています。しかし、夫が何の断りもなく見知らぬ男を家に招き入れたことから、妻の平穏は乱されます。翌日にはその男の妻も現れ、二人の行動は無作法で図々しく、妻は不安を覚えます。さらにその息子たちが現れ、家の中で殺人が発生するなど、事態は急速にエスカレートしていきます。夫は、妻が大切にする家のものを壊されても、訪問者たちを優しく受け入れ、彼らの中心であろうとします。やがて妻は妊娠し、夫は長らく書けなかった詩を完成させ、世間から熱狂的な注目を集めます。夫のファンや信奉者たちが大挙して家に押し寄せ、家は修復不る可能なほど荒らされ、妻の安全と精神は極限まで追い詰められていきます。

 

キャスト

 

 

主題歌・楽曲

 

  • 音楽: ヨハン・ヨハンソン
  • 特記事項: 本作では、従来の映画音楽(スコア)がほとんど使われていません。代わりに、主人公である妻の聴覚を通して、家の軋む音、人々のざわめき、そして暴力的な音響効果が強調されており、観客を妻の極限の心理状態に引き込むための重要な役割を果たしています。

 

受賞歴

 

 

撮影秘話 

 

  • 監督のダーレン・アロノフスキーは、本作の脚本をわずか5日間で書き上げました。彼は、地球環境の破壊や人間性の危機に対する怒りや絶望を、寓話的な形で表現したかったと語っています。
  • 映画の全編がほぼ一軒家の内部で撮影されており、セットは妻の視点と感情を反映するように設計されています。カメラは常にジェニファー・ローレンス演じる妻に密着し、彼女の不安や恐怖をリアルタイムで体験させるような手法が取られています。
  • ジェニファー・ローレンスは、撮影中の感情的な負担が非常に大きかったと語っており、役柄の重圧から過呼吸に陥ったこともあったそうです。

 

感想

 

マザー!』は、観る人を選ぶ非常に挑戦的で不快指数が高い作品です。しかし、その強烈な映像とテーマ性は、観客に深い問いを投げかけます。単なる家庭崩壊の物語としてではなく、聖書の物語や地球環境への警告といった壮大なテーマを、一軒家という閉鎖的な空間に凝縮して描いています。妻の視点から描かれる息苦しいほどのカオスは、観客を主人公と同じ不安と混乱へと引きずり込みます。ダーレン・アロノフスキー監督の強烈なビジョンと、ジェニファー・ローレンスの全身全霊の演技がぶつかり合った、忘れがたいサイコスリラーです。

 

レビュー

 

肯定的な意見

・「ダーレン・アロノフスキー監督の過去作の中で最も強烈な寓話であり、そのテーマの深さと映像の迫力に圧倒された。」

・「ジェニファー・ローレンスが体現する極度の緊張と恐怖は、まさに圧巻。彼女のキャリアの中でも特に印象的な演技だ。」

・「聖書や神話をモチーフにした解釈が可能で、観終わった後も深く考察できる点に魅力を感じる。」

否定的な意見  

・「難解すぎて意味が分からなかった。ただ不快で、理解を超えたカオスが続く。」

・「倫理的に受け入れがたいシーンや、過激な描写が多く、エンターテイメントとして楽しめない。」

・「訪問者たちの無礼でエスカレートする行動にイライラさせられ、ストレスが溜まる。」

 

考察

 

聖書と神のメタファー

本作の最も一般的な解釈は、聖書と神の創造した世界、すなわち地球を巡る寓話です。妻は「母なる大地」や「自然」のメタファーであり、夫である詩人は「神」のメタファーとされます。最初の訪問者の夫婦は「アダムとイヴ」、彼らの息子たちは「カインとアベル」を表していると解釈されます。夫(神)は、妻(地球)を傷つけても、人間の愛と信仰を優先し、人間たちを拒みません。このため、家(地球)は人間たち(人類)によって徹底的に破壊されていきます。

 

破壊と創造のサイクル

物語は、家が大火で焼失した後の再建から始まり、ラストで完全に崩壊し、再び最初と同じサイクルに戻ります。これは、世界が滅亡と再創造を繰り返す、終わりのないサイクルを示唆しています。夫(神)が唯一望むのは、妻(地球)の心臓から取り出される「クリスタル」(愛や創造の源)であり、彼がそれを手に入れるたびに、新たな世界が創造され、再び人間によって破壊されるという、絶望的なサイクルが繰り返されることを示しています。

 

 

※以下、映画のラストに関する重大なネタバレが含まれます。
未視聴の方はご注意ください。

 

ラスト

 

妻はついに赤ちゃんを出産しますが、狂信的なファンたちに囲まれた夫は、その赤ちゃんを彼らに見せてしまいます。赤ちゃんは群衆に奪われ、集団で殺害され、その肉は分け与えられて食されます。怒り狂った妻は、激昂して群衆を殺そうとしますが失敗し、夫に助けを求めます。夫は、妻に家の地下にある隠されたスペースへ逃げるよう促します。そこで、妻は家を焼き尽くすために火を放ち、家と全ての訪問者を道連れにして死を選びます。全身が焼けただれた妻に対し、夫は「まだ愛が足りない」と囁き、彼女の胸元から輝くクリスタルのような心臓を取り出します。クリスタルが夫の手に渡ると、家は一瞬で元の何もない状態に戻り、夫は新たなクリスタルを暖炉に埋め込みます。そして、新しい妻(新しいジェニファー・ローレンス)が目を覚まし、物語は再び最初から繰り返されることが示唆されて幕を閉じます。

 

視聴方法 

 

 

DVD&Blu-ray情報

 

 

まとめ

 

映画『マザー!』は、家庭が狂気と混沌に侵食されていく過程を、妻の主観的な視点から描き切ったサイコスリラーです。ジェニファー・ローレンスが極限の感情を体現し、ハビエル・バルデムが演じる夫の不可解な行動が物語の緊張感を高めます。聖書の寓話、芸術家のエゴ、そして地球環境への警鐘という複数のテーマが絡み合い、観客に強い衝撃と議論を呼んだ問題作です。難解ながらも、その強烈なメッセージ性は必見です。

 

映画のジャンル 

 

サイコスリラー、ドラマ、ホラー、寓話

  • マザー!
  • ジェニファーローレンス
  • ダーレンアロノフスキー
  • サイコスリラー
  • 聖書モチーフ