映画『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』:30年の時を経て、親愛なるバカ2人組が音楽で世界を救う!

2020年に公開された映画『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』(原題:Bill & Ted Face the Music)は、1989年の『ビルとテッドの大冒険』から続く伝説のSFコメディシリーズの第3作目にして、29年ぶりとなる続編です。かつて彼らのロックバンド“ワイルド・スタリオンズ”が演奏する一曲が、未来の世界を救うと予言されました。しかし、それから30年が経ち、ビル(アレックス・ウィンター)とテッド(キアヌ・リーブス)は、相変わらず仲の良い親友であり、愛する妻と娘に囲まれていますが、世界を救うはずの「史上最高の曲」は未だ完成していません。人気は低迷し、応援してくれるのは家族だけという状況の中、未来の使者が現れ、残された時間はわずか77分25秒であるという衝撃の事実を伝えます。もし時間内に曲が完成しなければ、時空が歪み、世界は消滅してしまうというのです。地球と愛する人々を救うため、ビルとテッドは、過去と未来の自分たちに会いに行き、曲のアイデアを盗み出すという、時空を超えた壮大なミッションに挑みます。そして、彼らの娘たちもまた、父たちを助けるために伝説のミュージシャンたちを集める旅に出ます。
概要・原題
- 原題: Bill & Ted Face the Music
- 公開年: 2020年(日本公開: 2020年)
- 上映時間: 91分
- ジャンル: SF、コメディ、アドベンチャー、タイムトラベル
- 原作: 該当情報なし(オリジナル脚本)
- 監督: ディーン・パリソット
- プロデューサー: スティーブン・ソダーバーグ 他
あらすじ
中年になったビルとテッドは、世界を救うという使命を背負いながらも、未だ「史上最高の曲」を生み出せずにいました。ある日、未来の評議会から使者ケリーがやってきて、時空の安定が崩壊寸前であり、もし77分25秒以内に曲が完成しなければ世界が消滅すると告げます。焦ったビルとテッドは、最も簡単な方法として、タイムトラベルができる電話ボックスに飛び乗り、曲が完成しているはずの未来の自分たちからその曲を奪い取る計画を立てます。一方、ビルとテッドの娘たち、ティアとヴィアも、父たちの窮地を救うため、伝説的なミュージシャンたち(ジミ・ヘンドリックスやルイ・アームストロングなど)を時空を超えて集める旅に出ます。二組の時空旅行が交錯する中、世界を救う曲が本当に必要なものは何なのか、そして愛と友情の力とは何か、というテーマが浮かび上がります。そして、彼らが最終的にたどり着いた驚くべき結論とは…
キャスト
- テッド・ローガン: キアヌ・リーブス(Keanu Reeves)
- ビル・プレストン: アレックス・ウィンター(Alex Winter)
- ケリー: クリスティン・スカール(Kristen Schaal)
- ティア(ビルの娘): サマラ・ウィーヴィング(Samara Weaving)
- ヴィア(テッドの娘): ブリジット・ランディ=ペイン(Brigette Lundy-Paine)
- 死神: ウィリアム・サドラー(William Sadler)
- デニス・ケイレブ: アンソニー・キャリガン(Anthony Carrigan)
- エリザベス(ビルの妻): ジャイマ・メイズ(Jayma Mays)
- ジョアンナ(テッドの妻): エリン・ハイズ(Erinn Hayes)
主題歌・楽曲
- 音楽: マーク・アイシャム
- 主題歌: 該当情報なし
- 特記事項: この映画の核となるのは、もちろん“ワイルド・スタリオンズ”の音楽です。作中で登場する「史上最高の曲」は、観客の期待を裏切らない、ロックンロールと友情、そして世界平和のメッセージが詰まった楽曲となっています。また、サウンドトラックには、ウィーザーやリンゴ・スターの息子ザック・スターキーが参加するザ・フーのドラマーなど、豪華なアーティストが参加しています。
受賞歴
- 第37回サターン賞 最優秀ファンタジー映画賞 ノミネート
- 特記事項: 公開後、オリジナルのファンや批評家から、ノスタルジーを刺激しつつ、現在の社会状況に合わせたテーマを提示した点が高く評価されました。特にキアヌ・リーブスとアレックス・ウィンターの変わらぬコンビネーションが絶賛されています。
撮影秘話
- 本作の実現には、長年のファンとキャストの熱意がありました。特に主演のキアヌ・リーブスとアレックス・ウィンターは、30年近くにわたりこの続編のアイデアを温めていました。
- 娘役のサマラ・ウィーヴィングとブリジット・ランディ=ペインは、オリジナルのビルとテッドのキャラクター性を見事に引き継ぎ、その「親愛なるバカさ」とポジティブな精神を表現し、映画に新たな魅力を加えました。
- 死神役のウィリアム・サドラーが再登場したことは、ファンにとって大きなサプライズとなりました。彼の再登場は、単なる懐かしさだけでなく、物語における重要な役割を果たしています。
感想
『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』は、ファンが待ち望んだ通り、優しさとユーモアに溢れた感動的な続編でした。30年経っても変わらないビルとテッドの純粋でポジティブな精神は、現代社会で疲れている私たちに大きな安らぎを与えてくれます。中年になり、家族を持ってもなお「世界を救う曲」を探し続ける彼らの姿は、どこか切なくも愛おしいです。特に、彼らの娘たちが父たちのミッションを引き継ぐ形で登場し、新旧の世代が協力して世界を救おうとする展開は、単なるノスタルジーに終わらせない、この映画の最も優れた点と言えるでしょう。友情と家族愛、そして音楽の力を信じる、ハートフルな物語です。
レビュー
肯定的な意見
・「キアヌとアレックスのコンビが最高にキュートで、変わらぬバカさ加減に笑いと涙が止まらない。」
・「娘たちが物語の核となり、過去のシリーズへのリスペクトを持ちつつ、新しい世代の物語として成立している。」
・「世界を救う曲の答えが、予想外で最もビルとテッドらしい。ポジティブなメッセージに感動した。」
否定的な意見
・「物語の展開が忙しなく、時空旅行の要素がやや混乱している。」
・「30年前のノリがそのままなので、オリジナルを見ていない観客には少し分かりにくい部分があるかもしれない。」
考察
「史上最高の曲」が持つ意味
ビルとテッドが探し続けた「史上最高の曲」は、単なるロックンロールの傑作ではありませんでした。この曲の本当の力は、世界中の人々が音楽を通じて一緒に演奏し、分かち合うという、その「共有の行為」そのものにありました。これは、ビルとテッドが体現してきた「Be excellent to each other(お互いに優しく)」というメッセージが、最も重要な世界平和の手段であることを示しています。彼らの純粋なポジティブさは、分断された現代社会へのアンチテーゼとして機能しています。
中年期の危機と世代継承
本作は、世界を救うヒーローが中年になり、才能の枯渇や家庭とのバランスに悩む姿を描くことで、一種の「中年期の危機」を描いています。しかし、最終的に世界を救うのは、ビルとテッドが築き上げてきた友情と、彼らが娘たちに与えた自由な精神です。娘たちが伝説のミュージシャンを集めるという展開は、親から子へと、ポジティブなエネルギーと音楽の魂が受け継がれていくという、温かい世代継承の物語となっています。
※以下、映画のラストに関する重大なネタバレが含まれます。
未視聴の方はご注意ください。
ラスト
ビルとテッドは、世界が消滅する直前に、未来の自分たちから曲を盗むのではなく、世界を救う真の答えに気づきます。それは、「史上最高の曲」は一人や二人で生み出すものではなく、すべての人々が一緒に演奏することで完成するという真実でした。彼らの娘たち、ティアとヴィアが時空を超えて連れてきた伝説のミュージシャンたち、そして過去・未来のビルとテッド、さらに彼らの妻たちと未来の評議会までもが参加し、バンド“ワイルド・スタリオンズ”は世界中を巻き込んだ壮大なセッションを繰り広げます。この音楽の共有と愛の力によって、時空の歪みは修正され、世界は無事に救われるのでした。最終的に、ビルとテッドは「歴史上最も素晴らしいバンド」ではなく、誰にとっても「最も必要なバンド」として、最高の形でその使命を終えるのです。
視聴方法
DVD&Blu-ray情報
まとめ
『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』は、シリーズを愛するファンにとって最高の贈り物であり、初めて観る人にとっても楽しめる、優しさに満ちたSFコメディです。キアヌ・リーブスとアレックス・ウィンターの完璧なコンビネーションが、30年という時を超えても変わらず、私たちに「音楽と友情、そして家族の愛が世界を救う」という普遍的なメッセージを伝えてくれます。彼らの時空を超えた冒険と、最後にたどり着く感動的な結末を、ぜひご自身の目でお確かめください。
映画のジャンル
SF、コメディ、アドベンチャー、タイムトラベル、バディムービー