映画『キング・オブ・エジプト』:神と人間が共生する古代世界を舞台にした壮大なファンタジー・バトル

映画『キング・オブ・エジプト』は、2016年に公開されたアレックス・プロヤス監督によるファンタジー・アドベンチャー超大作です。物語の舞台は、偉大な神々が人間と同じように地上で暮らし、共に文明を築き上げていた古代エジプト。ナイル川が流れ、巨大なピラミッドがそびえるこの世界で、エジプトの王座をめぐる壮絶な争いが勃発します。主人公は、人間の盗賊である青年ベック。彼は、闇の神セトが王座を強奪した際、恋人ザヤを奪われ、その命を救うために立ち上がります。ベックは、セトに片眼を奪われて追放された天空の神ホルスと出会い、彼を王座に返り咲かせることで恋人を取り戻そうと、危険な旅に出ます。神々の巨大な姿や、ピラミッドの迷路、スフィンクスの謎など、ファンタジー要素満載の試練を乗り越えながら、ベックとホルスはエジプトの平和を取り戻すための、スケールの大きな戦いに挑むことになります。古代エジプトの神話的世界観を、最新のVFX技術で描き切ったスペクタクル作品です。
概要・原題
- 原題: Gods of Egypt
- 公開年: 2016年(アメリカ、オーストラリア)
- 上映時間: 約127分
- ジャンル: ファンタジー、アドベンチャー、アクション
- 監督: アレックス・プロヤス
- 出演者: ブレントン・スウェイツ, ニコライ・コスター=ワルドー, ジェラルド・バトラー, コートニー・イートン, エロディ・ユン, ジェフリー・ラッシュ, チャドウィック・ボーズマン, ルーファス・シーウェル, レイチェル・ブレイク, エマ・ブース
- 特記事項: 監督のアレックス・プロヤスは『クロウ 飛翔伝説』や『アイ,ロボット』などで知られています。本作は、エジプト神話を大胆に解釈し、神々を人間よりも遥かに巨大な姿として描くことで、視覚的なインパクトを追求しています。
あらすじ
エジプトの王オシリスが息子ホルスに王位を譲る儀式の最中、オシリスの弟である砂漠の神セトが現れ、オシリスを殺害し、ホルスに重傷を負わせて王座を奪います。セトはホルスから神の力を象徴する片眼を奪い、エジプト全土を支配下に置きます。一方、人間の盗賊ベックは、セトの奴隷にされた恋人ザヤを救い出すため、セトの宝物庫からホルスの神の眼を盗み出します。ベックは、片眼を失い、自暴自棄になって隠遁生活を送っていたホルスに眼を返し、セト打倒への協力を求めます。ホルスは、ベックがザヤを生き返らせるという条件と引き換えに、ベックと共にセトを討つ旅に出ます。二人は、知恵の神トトや愛の女神ハトホルなどの神々の助けを得ながら、セトが築いた巨大な迷宮や、太陽神ラーが守る天空の世界など、様々な試練に立ち向かいます。ベックの人間的な機知と、ホルスの神としての力が一つになり、エジプトの命運をかけたセトとの最終決戦へと向かいます。
キャスト
- ベック(盗賊の青年): ブレントン・スウェイツ
- ホルス(天空の神): ニコライ・コスター=ワルドー
- セト(闇の神): ジェラルド・バトラー
- ザヤ(ベックの恋人): コートニー・イートン
- ハトホル(愛の女神): エロディ・ユン
- トト(知恵の神): チャドウィック・ボーズマン
- ラー(太陽神): ジェフリー・ラッシュ
- 特記事項: ジェラルド・バトラーが冷酷ながらもカリスマ性を持つ悪役セトを演じ、ニコライ・コスター=ワルドー演じるホルスとの対比が際立っています。また、後にブラックパンサー役で世界的に知られることになるチャドウィック・ボーズマンが、知恵の神トトとしてユーモラスで重要な役割を果たしています。
主題歌・楽曲
- 特記事項: 音楽はマーク・ストライテンフェルトが担当しました。古代エジプトを舞台にした壮大なスケール感と、ファンタジー・アクションとしてのスピード感を両立させたオーケストラ・スコアが特徴です。特に、神々が変身する際の壮麗なテーマや、ベックとホルスの冒険を彩るエキゾチックなメロディが、映画の世界観を深く印象づけています。
受賞歴
- 特記事項: 本作は、その斬新なビジュアルスタイルとVFX技術で注目されましたが、主に視覚効果関連の部門でのノミネートが多く見られました。賛否は分かれたものの、古代エジプト神話をここまで大規模に映像化した点について、その挑戦的な姿勢が評価されています。
撮影秘話
- グリーンバック撮影の多用: 古代エジプトの壮大でファンタジックな景観のほとんどは、オーストラリアのシドニーにあるスタジオでグリーンバックを使用して撮影され、後に大規模なVFXによって作り上げられました。神々の巨大な身長差や、空飛ぶ船のシーンなど、現実にはあり得ないビジュアルを創出するために、VFXが不可欠でした。
- 神々の身長差: 神々と人間が共生している世界を描くため、神々(ホルスやセトなど)を人間(ベックやザヤ)よりも遥かに大きく見せるという視覚トリックが用いられています。これはカメラアングルや、俳優が着用する特殊な衣装や高床式の靴など、様々な技術を組み合わせて実現されました。
感想
『キング・オブ・エジプト』は、古代エジプト神話をモチーフにした、視覚的なスペクタクルが非常に魅力的な作品です。物語は比較的シンプルで分かりやすく、ベックとホルスという異色のバディが、巨大な神々に立ち向かう構図が面白いです。特に、神々がトランスフォームして鎧を纏った巨大な姿になるシーンや、太陽神ラーが宇宙を旅する船に乗っている描写など、アレックス・プロヤス監督ならではのケレン味あふれる映像表現が楽しめます。深い哲学性よりも、純粋なエンターテイメントとして、この壮大な古代世界への冒険を楽しむのが正解でしょう。
レビュー
肯定的な意見
・神々のデザインや、古代エジプトのファンタジー世界をVFXで描き切った、圧倒的なビジュアルの豪華さ。
・盗賊ベックと神ホルスという、身分も目的も異なる二人が次第に信頼を築くバディ・ムービーとしての面白さ。
・ジェラルド・バトラー演じるセトの悪役としての存在感と、クライマックスの壮大なスケール。
否定的な意見
・物語やキャラクターの深みが薄く、視覚的な派手さに偏りすぎているという意見がある点。
・白人の俳優が古代エジプトの神々を演じていることに対する、文化的なキャスト選択の問題点が公開時に指摘された点。
考察
人間の信仰心と神々の力の関係
この映画では、神々は人間の信仰心によって支えられ、その力が維持されているという設定が示唆されています。セトが人間を奴隷とし、信仰心を失わせることで、神々自身の力も衰退していきます。盗賊ベックが、ホルスを王座に導こうとする行動は、神々の運命を人間が握っているという現代的な視点を与えています。これは、神話が単なる歴史ではなく、人間の心の中で生き続けることで力を持ち続けるという構造を表現していると解釈できます。
愛と犠牲の対比
主人公ベックの行動の動機は、常に恋人ザヤへの一途な愛です。彼は、神々の権力争いには興味がなく、ただザヤを救うためだけに神々の世界に足を踏み入れます。このベックの「愛」は、権力や復讐心に駆られる神々(セト、当初のホルス)の行動と対比され、物語に人間的な温かさを与えています。最終的にベックが下す犠牲の決断は、神々の力を超える人間の精神的な強さを示しており、ホルスが真の王として成長するきっかけとなります。
※以下、映画の結末と物語の根幹に関する重大なネタバレが含まれる可能性があります。
未視聴の方はご注意ください。
ラスト
ホルスは、セトが太陽神ラーから生命の源である眼の力を奪い、エジプトを破壊しようとする計画を知り、ラーの天空の船でセトと対峙します。一方、地上ではベックが最後の力を振り絞り、セトの計画を阻止しようと奮闘します。最終的な決戦は、神々が鎧を纏った巨大な姿に変身して繰り広げられます。ホルスはセトとの激しい戦闘の末、セトを打ち破り、神の眼と王座を取り戻すことに成功します。しかし、この戦いの最中にベックは致命傷を負い、死んでしまいます。ホルスは王座に就くことを拒否し、死後の世界へ旅立つベックの魂を追って冥界へと向かい、ベックの魂とザヤの魂を神々の力で現世に戻そうとします。しかし、冥界の門番から、神が人間を蘇らせることはできないと告げられます。ホルスは諦めず、ベックを蘇らせるために自らの命を差し出そうとしますが、ベックはそれを拒否します。このホルスの献身を見た太陽神ラーは、ベックとザヤの魂を現世に戻し、二人は生き返ります。ホルスは真の慈愛と謙虚さを学んだ神としてエジプトの新たな王となり、ベックは彼の信頼できる顧問として、人間と神々の世界に平和をもたらします。
視聴方法
DVD&Blu-ray情報
まとめ
『キング・オブ・エジプト』は、古代エジプト神話を大胆かつ豪華なVFXで描き出した、純粋なエンターテイメント作品です。巨大な神々と、勇敢な人間が織りなす物語は、冒険とアクションに満ちています。一見、派手な映像に目が行きがちですが、根底にはベックとザヤの愛、そしてホルスが真の王へと成長する「献身」のテーマが流れています。何も考えずに古代のファンタジー世界に没入したい時にお勧めの映画です。
映画のジャンル

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